法定相続情報証明制度:認証文付法定相続情報一覧図は相続の必需品

(2020.7.28追記)

相続が発生した後、不動産の名義を書き換えたり、預金の引き出し、車の名義変更など、実は様々なメンドウな手続きがあります。

 

例えば、ご主人が亡くなり、相続人が奥様、長男長女1人ずつ、計3人だとしましょう。

葬儀やら何やらでお金がかかりますので、被相続人(ご主人)名義の預金を長男が下ろしにいきました。

銀行の窓口に行って、「亡くなった父親の預金を下ろしたい。」と言っても、

銀行の窓口の方からは、まずは除籍謄本を持ってきて下さい!

次に遺産分割協議書を持ってきて下さい!

それと、故人の戸籍謄本を出生時から遡って取得して持ってきて下さい!

合わせて、相続人全員の戸籍謄本も持ってきて下さい!

あっ、相続人全員の印鑑証明書も要りますね!

なんて言われます。

 

預金している銀行が複数ある場合、それぞれの銀行で同様な書類の原本の提出を求められます。(銀行によって必要書類は若干違います)

 

出生時から遡って戸籍の書類を用意することは結構大変です。現在の住所で生まれたならまだ簡単かもしれませんが、地方で生まれた方などは、出生時の役所に書類を郵送して、手数料を払って、更に今後の手続きに必要とされる枚数を想定して複数枚発行してもらう。。。という事になります。

そこで、こんな便利な制度がスタートしました。(スタートしています。2017.5.29~運用中)

 

法定相続情報証明制度

この制度は、そもそも相続人不明の空家を増やさないように、法務省が考えだしたものです。

前段で説明したように、相続人が様々な戸籍情報を取得してそれを各窓口に必要分持って行くのは結構大変です。

なので、「法務局に一度届出を出してもらえば、他の機関(銀行など)でも使える証明書を発行してあげるよ!それもタダで!」「だから、相続した土地建物もキチンと相続登記して、空家問題を発生させないでね!」というものです。

この制度が、法定相続情報証明制度というもので、不動産の相続などで相続登記のプロである登記管が書類をチェックし、登記管が認証し、「認証文付法定相続情報一覧図」として発行してくれます。

この一覧図=証明書を持っていけば、銀行で預金を下ろすにも手続きが簡単です。

法定相続情報一覧図

こんな感じ↑ ↑ のものです

A銀行で、認証文付法定相続情報一覧図+遺産分割協議書

B銀行でも、認証文付法定相続情報一覧図+遺産分割協議書

C銀行でも、同じものでOK。

車の名義変更には、認証文付法定相続情報一覧図+遺産分割協議書でOK

 

このように、遺産分割協議書はそれぞれの機関で必要にはなりますが、相続人(遺族)、被相続人(故人)それぞれの戸籍謄本の分厚い束(?)を持って行く必要が無くなるのです。

これは便利な制度ですね。しかも法務局に支払う手数料はタダです。5年以内なら何枚でも再発行が可能です!

 

でも、一組はそれぞれの謄本が必要です。

いくら法務局で証明書を出してくれるとしても、その法務局に認証してもらうためには、やはり被相続人の出生時から亡くなるまでの戸籍謄本などが一組は必要です。その他、相続人全員の戸籍謄本も必要です。一度法務局で認証を受けてしまえばその後は「認証文付法定相続情報一覧図」だけでOKですから、色んな役場に郵送などで戸籍謄本を依頼する手間がなくなりますね。

ちなみに、もしお時間があって興味があるのであれば、ご自身で行ってみることをオススメします。日本のお役所は本人申請が原則です。

役所というのは書類一枚取るだけでも、何とも凄く面倒な手続きが必要です。窓口で申請すれば委任状が必要だが郵送で申請すれば委任状は必要ないとか、何とも意味不明の事もあります。そこそこの役所の事情(規定)があるのでしょう。お役所のシステムが良く分かります(笑)

申請についての詳しい情報はこちらから(法務省該当ページ)

これらの行為を本人以外で行えるのは弁護士、司法書士、行政書士等に限られるのですが、とっても手間なので5万~10万~20万円位の報酬が必要です。

この手数料が高いと思われる方もいらっしゃるでしょうが、自分でやってみると本当に手間がかかり時間もかかります。本業がお忙しい方は手数料を払ってでもお願いした方が良いですよ。自分でやってみるともう二度とやりたくないと思うぐらいの作業量です。。私も自分の親の相続では、勉強のため全ての手続きを自分で行いましたが、もう二度とやりたくありません(笑)。

この記事を書いた人

中村(代表)
中村(代表)
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不動産ラボ、代表の中村です。

当社は事業用の収益物件に特化した会社です。
事業用ですから、それら資産の継承、相続、税務などについてのご相談がどうしても多くなります。

私一人の知識では太刀打ちできない事があっても、その度に身銭を切って専門家に協力を仰ぎ、その知識を学習し、問題解決に当たってきました。

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