大家さんは持続化給付金もらえますか?
事業主のための持続化給付金。
飲食店だとか一般の商店では給付の申請をしているところも多いでしょう。
アパートの大家さんは果たして、持続化給付金の支給対象なのでしょうか?
大家さんは持続化給付金の対象か?
個人事業か法人化されているかで大きく違う
個人として大家さん業を行っている方は残念ながら対象外です。
経産省の給付金HPには、
『不動産収入や給与収入、雑所得等は含みません』となっているため、個人の不動産賃貸業は給付の対象外です。
そもそもこの給付金の性格は、事業収入の不足を補うためのものなので、収入(売上)が事業による収入(売上)でないとならないのです。
これが、法人化された大家さんの場合は、収入(売上)の中身がほぼ家賃(不動産賃貸業)といえども、法人としての事業収入とみなします。
なので、基本的に個人名義で営んでいる大家さんは持続化給付金の対象外です。
実際にどうなったら給付金が支給されるか?
では、実際にどうなったら給付金が支給されるかですが、ここでは以下の条件で試算してみます。
●一つの法人が1棟のテナントビルを貸している。
●この法人の事業収入(売上)は家賃収入が100%で月間家賃収入を100万円とする。
給付金の申請基準では、法人全体の売上(事業収入=家賃)が前年同期と比べて50%以上減っていれば支給対象になります。
なので、上の法人の例で見てみると、
R1年5月の売上(家賃収入)が100万円で
R2年(今年)5月の売り上げが50万円以下ですと支給対象になります。
具体的には、月100万円の家賃を50万円に減額した場合が対象になります。
20万円を減額するとか、10万円を3ヶ月間減額するとか、40万円減額するとかはダメですよ!
前年同月と比べた「単月」の売上(家賃)が50%以下にならないと給付金の対象とはならないため、10%とか20%とか40%とかの減額は給付金の対象となりません。
給付金の額は、前年同月と比べたこの「ある月」の減少額×12ヶ月分(上限額200万円)となります。
とにかく正規家賃の50%以下になるよう減額(減免)すること
入居するテナントさんと話し合って「今後3ヶ月間は家賃の30%減額」などはダメですよ!
できれば、「今月と来月は家賃半分で良いから、その間に態勢を立て直して頑張りなさいw。」などと励ましてあげると良いと思いますw。
3ヶ月間20%減額とか30%減額するよりも、今困っている、今月困っているという方が多いはずですから、このようにスパッと50%減額してあげる方がテナントさんにとっても良いはずです。(また大家さんにとってもw。)
家賃減免の際の所得税の取扱い
これも今回のコロナの影響で特例が出ています。
通常は大家さんが家賃を減免した場合、その減免分の家賃は「もらう権利があるのに自分で放棄した」家賃であり、未収金とみなされます。未収金をそのままにして放棄(減免したまま)では手っ取り早くいうとテナントさんに寄付したみたいなお金になります。
そういった寄附金的なお金は経費として計上できないため、上の例での月額100万円の家賃を半分の50万円にした場合、実際には大家さんの手元には50万円しか入らないが、確定申告上では100万円の収入があったとみなされ、その全額が課税対象になります。
しかし、今回のコロナ影響での家賃減免をした場合は、以下の条件を満たした場合に貸倒損失のように損金(経費計上)可としています。(国税庁「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」より)
- ① 新型コロナウイルス感染症に関連して事業継続 が困難、又は困難となるおそれがあること
- ② 家賃の減額が、テナントさへの復旧支援目的であること。(書面にて復旧支援目的で家賃減免するとの取り決めが必要)
- ③ 賃料の減額がコロナ影響後の相当の期間内に行われたものであること
となっています。
このように、今回のコロナ禍での家賃減免分は損金扱いになりますが、もし大家さんが給付金をもらった場合、この給付金は事業所得になりますので、所得に応じで課税されます。。。
ちなみに、家賃減免を受けたテナントさんの方は、その減免分の金額が受増益として事業収入にプラスして課税対象になりますが、その年度トータルで赤字所得であれば課税されません。
ところで、複数棟所有の法人大家さんの場合はどうなんでしょう?
所有資産の組み替えでたまたま昨年所有物件を売って売り上げが立っちゃったが今年は所有物件を売っていないとか、前年は消費税還付のために金売買を行って売り上げが大きかったとか。。。
いろいろ良いことありそうですねw。
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