相続税を払わない(全財産が基礎控除の範囲内)人でも申告が必要なの?

相続財産が基礎控除以内に収まった方は、納税も申告の義務もありません。

勘違いされている方も多いのですが、相続が発生したら必ず税務署へ申告しなければならない、という義務はありません。基礎控除以上に相続財産がある方のみ、申告義務があります。

まずこれを頭に入れて頂いて、次に東京と札幌の国税局の申告・課税データを見てみます。(H28年のデータです)

東京国税局管内:申告割合17.8%、そして課税割合12.8%

この数字は、相続税の申告が必要な方÷亡くなった人の割合=申告割合と言います。

そして、相続税が課税されることになった方÷亡くなった人の割合=課税割合と言います。

上の東京の数字で言うと、申告しなければならない方の割合が17.8%で、課税された方が12.8%という事です。

さっきの話に戻りますが、相続財産が基礎控除金額を越えた場合には申告する必要があります。但し、相続税には様々な特例(控除)がありますので、申告したからと言って全て相続税がかかるわけではありません。

相続財産から配偶者控除とか小規模宅地等の特例により、税額がゼロになることもあります。

東京の数字では、申告しても課税されない方が結構いるということですね。

では、札幌国税局管内のデータを見てみましょう。

同じくH28年のデータでは、

申告割合が4.8%、課税割合が3.9%です。

やっぱり札幌はこの位ですかね。

ちなみに、経済的に同規模の福岡税務署管内でも申告割合5.9%の課税割合4.7%です。

ですので、札幌にお住まいの方は95%以上の方が申告不要という事になります。

 

基礎控除おさらい

相続税の基礎控除をおさらいしてみましょう。

相続財産(土地、建物、有価証券、保険、現預金、貴金属、書画骨董品など)をまず全部出しまして、

その価格を算出します。

●土地は路線価で算出

●建物は固定資産税評価額

●現預金、保険はそのままの金額

●株などの有価証券は次の4つの価格の中で一番低い額⇒国税庁HP

●書画骨董品は「財産評価基本通達135条」により、それらを販売する業者さんでない場合は「売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。」となっています。いわゆる時価ですね。

●貴金属なども時価です。高額なものであれば専門家による鑑定が必要です。金などの地金に関しては、相続が発生した日の取引価格となります。

 

これらをまず一覧表に書き出しましょう。

仮に自宅の土地建物で1,000万円、預金1,000万円、死亡保険金1,000万円、借入金なしとします。

(不動産は時価でありませんからね!土地は路線価、建物は固定資産税評価額です。)

すると、相続財産が合計3,000万円ですね。

相続人は奥さんと息子2人の合計3人とします。すると、基礎控除額は

3,000万円+1,800万円(相続人3人分×600万円)=4,800万円です。

相続財産は先の合計3,000万円ですから、相続税はかかりません。申告する必要すらありません。

そして、相続財産が基礎控除内に収まった方は、遺産をどのように分けても自由です。

例えば、全部奥様が相続しても良いし、息子さん2人で半分ずつ分けても良いし、息子さんのうち1人だけが全部相続することも可能です。好きなように分けて下さい。但し、不動産の相続登記の際などには遺産分割協議書が必要ですから、相続人全員が納得する分け方をして下さいね!

ご注意

税法は毎年のように変わります。

また、不動産の相続価格は路線価と固定資産税評価額といいましたが、相続前3年以内に取得したものは取得時の価格を相続財産の価格とする等、様々な例外もあります。また、タワーマンションとタワーじゃないマンションの評価も違います。あくまでも一例としてご参考になさって下さい。

また、亡くなった方が毎年確定申告をしていた方であれば、確定申告が必要です。

この記事を書いた人

中村(代表)
中村(代表)
 こんにちは。お越し頂きありがとうございます。
不動産ラボ、代表の中村です。

当社は事業用の収益物件に特化した会社です。
事業用ですから、それら資産の継承、相続、税務などについてのご相談がどうしても多くなります。

私一人の知識では太刀打ちできない事があっても、その度に身銭を切って専門家に協力を仰ぎ、その知識を学習し、問題解決に当たってきました。

ここではそんな経験から、オーナーの皆様に有益となる情報をお知らせして行きたいと思います。

 ご質問、ご相談などは下のコメント欄からお気軽にどうぞ。

コメントフォーム

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です